企業は人なり

2026年5月10日

浅見正男 株式会社荏原製作所 取締役会長

[ 雑誌「コーポレートガバナンス」Vol.21 - 2026年4月号 掲載 ]

創業者畠山一清氏は、「社会の役に立ってこそ企業」という思い、そして「熱と誠」の精神を持って起業しました。現事業を行うことがそのまま社会への貢献につながっているのは、荏原がそのような基盤に立った会社だからだと思います。

2019年、社長になる時に考えた荏原の強みは「社会の役に立ちたい」という思いを持ち、お客さまへのサポートをやり抜く社員がいることでした。一方で、極端な言い方ですが「社会の役に立っていれば儲からなくても良い」という意識は変えなければならないと思いました。私が社員に伝えたのは、「社会の役に立つためには求められる製品を開発するためのリソースが必要。そのためには利益を出し続けられる会社に変わらなければならない。まず、みなさんが変わってください」。社員とともにさまざまなことに愚直に取り組みました。2年後、10年間手が届かなかった中計の目標を達成することができ、そして今、「社会の役に立ちたい」を更に先に進められる状態になっています。

人間、自分がやりたいことのためには、自ら考え、進んで行動するものです。私はそれを「自走」すると呼んでいます。一人ひとりの社員が「やりたい」ことを持ち、専門性、能力を活かして「自走」すれば、成果につながりやすくなります。荏原では、「社会の役に立ちたい」から「継続的に利益を出す」を目指し、企業価値向上につながりました。

一方で、不確実で変化が早く、先が見通しにくい環境で、利益を出し、存続し続けるために必要なのは、企業が寄って立つ「実現したいこと」であり、それに共感して「熱意」を持って取り組む人材だ、という考え方があります。

どちらの場合にも自発的な「やりたい」があり、その中心にいるのは「熱意」を持った人間だということです。それに思い至ると、企業にとっての人材の大切さ、社員に活き活きと「自走」してもらうことの大切さを改めて実感します。

やはり「企業は人なり」ですね。

株式会社荏原製作所 取締役会長
浅見正男