コーポレートガバナンスと取締役会

2020年4月10日

松本茂(日本取締役協会 執務室長)

[ 雑誌「コーポレートガバナンス」2019年12月号 掲載 ]

各種コード、ガイドラインの効果もあり、社外取締役の導入や任意の委員会の設置等、コーポレートガバナンスの形は整いつつある。そして現在は形から実質へという声が大きくなり、実質とは何かの議論がこれからのテーマであることは異論のないことと思われる。

一方、政府の成長戦略によるコーポレートガバナンスを企業の発展を促す試みと考えるならば、独立社外取締役が市場や他のステークホルダーの代弁者として経営陣を監督することで、企業を成長させる役割を担うことになる。そうすると今度は監督とは何をするのかで各経営者、独立社外取締役は実際の取締役会で頭を悩ませている。

日本の上場企業においては、監査役会設置会社の数はいぜんとして多く、取締役会は案件決裁に忙殺されている。結果として社外の取締役から、大所高所からのアドバイスで各コードの要求を満たしているのが現状かもしれない。

しかし本来の監督とは、企業を成長させるように考え行動するのは執行部であり、その成績や今後の成長計画、実行プロセス、結果に伴う報酬をチェックし、ふさわしくない経営者には変わってもらうことが基本とされている。今の日本企業でそのような監督が実行されているのは、ごく少数に限られている。また現在の経営者にとってそのような監督は決してよしとしないのではないか。

求められている取締役会とは、監督機能を入れ込み、執行を後押しすることで、明るい企業の未来を築くものでなければならない。これからは、日本の経営スタイルに合った取締役会の運営とはどのようなものかを見つけ出すことが必要となってくる。

最近、米国経営者協会ラウンドテーブルの声明の一つとして、株主オンリーから従業員や他のステークホルダーに目を向けるというメッセージが、日本でも話題となっている。これは米国の行き過ぎた利益、株主至上主義や富の格差の拡大に対する反省と考えられ、日本の状況とはかなりの差がある。太平洋をはさみ、アメリカは少し西を見ただけで、いぜんとして太平洋は広くて遠い。

編集長 松本茂