X(変革)の時代にこそ...

2022年9月13日

立石文雄(オムロン株式会社 取締役会長)

[ 雑誌「コーポレートガバナンス」Vol.10 - 2022年8月号 掲載 ]

日本取締役協会は今年20周年を迎えた。この節目の号の巻頭言を任されたことはこの上もない名誉である。この場を借りて、20年にわたり日本のコーポレートガバナンスの進化を牽引されてきた宮内前会長のご尽力に深く感謝を申し上げたい。

そして、DX、GXなど語尾にXのつく変革のキーワードが耳目を集める今の世の中で、変革の旗手として名高い冨山さんを当協会の新会長に迎えたことを大変心強く思う。ご存知の通り、冨山さんは「新しい資本主義実現会議」の有識者メンバーのお一人である。本会議は「新しい資本主義」の実現に向けて、「人」、「科学技術・イノベーション」、「スタートアップ」、「GXおよびDX」を重点投資分野とし、官と民が協力して計画的・重点的な投資と改革を行い、課題解決と経済成長を同時に実現することを目標に掲げている。この実現に向けて各企業には、「稼ぐ力」を強化するための仕組みであるコーポレートガバナンスの変革が急がれる。日本企業の復興をコーポレートガバナンスで後押しすることを使命とする当協会のリーダーとして、冨山さんは最も相応しい方である。

コーポレートガバナンスの領域においても、昨年東証より公表された改訂コーポレートガバナンス・コードや新しい取締役会の在り方を示すBoard3.0など、変革の潮流が生まれている。企業経営者にはこうした変化に対し、機敏な対応が求められているわけだが、それは形式的なものではなく、実質的なものであるべきだ。そして、企業の存在意義とも照らし合わせながら、一体のものとして取り組むことが重要である。

この変革の時代にこそ、企業経営者は未来から求められる企業とは何か、ぶれない経営をできているか、改めて振り返るべきである。そして、その使命と存在意義にしっかりと向き合い、自社が目指すべきユニークなX(変革)に取り組み、機能させるのが企業経営者の責務であると強く考えるのである。