指名委員会等設置会社制度の改善に向けて

2025年10月10日

淡輪敏 (日本取締役協会 コーポレートガバナンス委員会 委員長)
太田洋 (日本取締役協会 コーポレートガバナンス委員会 副委員長、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー)

[ 雑誌「コーポレートガバナンス」Vol.19 - 2025年8月号 掲載 ]

1 はじめに

政府が2024年6月21日に閣議決定の上公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」において、「コーポレートガバナンス改革について、指名委員会等設置会社制度の運用実態の検証と改善検討を含め、継続して進める」(Ⅶ.1.(3))とされるなど、近時、指名委員会等設置会社制度についての改善・検討の動きが見られる。このような動きを受け、日本取締役協会では、2024年9月に「指名委員会等設置会社制度の改善に関する研究会」(以下「本研究会」という)を立ち上げ、本研究会での検討の成果を「指名委員会等設置会社制度の改善に関する提言」(以下「本提言」という)として取りまとめ、2025年1月27日付けで公表した。(1)

筆者らは、本研究会の座長ないし委員として関与する機会を得たので、本稿では、本提言の背景に触れつつ、その概要を紹介する。

2 本提言の背景

指名委員会等設置会社制度は、米国の上場会社に典型的な企業統治の構造(いわゆるモニタリング・モデル)を参考にしつつ、平成14年商法改正により導入されたものであり、制度導入後、実質的な改正はなされていない。現状では、東京証券取引所(以下「東証」という)に上場している全上場会社のうち、平成26年会社法改正で導入された監査等委員会設置会社の数が1,621社(全体の42.3%)(2)であるのに対して、指名委員会等設置会社の数は97社(3)(TOKYO PRO Market及び外国会社を除く2025年5月末時点における東証の全上場会社数3,810社の約2.5%)である。

会社法上、指名委員会等設置会社において、取締役会の過半数を社外取締役とすることは求められていないが、その理由については、平成14年商法改正の時点では、社外取締役の適任者が限られていると指摘されていた当時の実情(4)に照らして、取締役会の過半数を社外取締役とすることは非現実的であったことから、コーポレートガバナンスの中核的領域である指名・報酬・監査の3分野につき3委員会(以下「必置3委員会」という)を設置することを義務付け、各委員会の構成員の過半数は社外取締役であることとした上で、必置3委員会が行った決定を取締役会においても覆すことができないとすることにより、比較的少数の社外取締役(最低2名)しか選任されていない場合でも、社外取締役が過半数を占める取締役会と同等の監督機能を有する取締役会を実現することを意図したものであると説明されている。(5)

もっとも、現在、取締役会の過半数を独立社外取締役が占めている上場会社の割合は、東証の上場会社全体の13.4%(3,831社中の512社)、東証プライム市場の上場会社では20.3%(1,642社中の334社)であるなど(6)、取締役会に占める社外取締役の割合等、上場会社を巡るコーポレートガバナンスの状況は、平成14年商法改正当時から大きく進展しており、現行の指名委員会等設置会社制度が前提としている、(社外取締役の適任者が限られていたという)平成14年商法改正当時の実情とは大きな乖離が生じていることは否定できない。そのため、このようなわが国の上場会社を巡るコーポレートガバナンスの高度化の状況に合わせた制度の見直しを行うべき時期に至っていると考えられる。

本研究会では、現行の指名委員会等設置会社につき、米国の上場会社と比較して必置3委員会(特に指名委員会)の権限が強すぎる上に、制度全体が硬直的で柔軟性に欠けるといった指摘に代表される問題点のうち、特に法制度の面に焦点を当てて、上記のような、平成14年商法改正当時からのわが国の上場会社を巡るコーポレートガバナンスの高度化の進展に合わせて、現行の指名委員会等設置会社制度を改善するために改正すべきものと考えられる事項等について検討を行った。

3 指名委員会等設置会社制度の改善提言

(1)指名委員会の権限(本提言第2-1)

そもそも、指名委員会の会社法上の権限は、株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定することであるが(会社法404条1項)、実務上は、取締役会規則や指名委員会規則等の指名委員会に関する社内規程において、指名委員会の法定の権限に加えて、CEOその他の役付執行役の選定又は解職や執行役の選任又は解任、(会社法上の「役員」ではない)執行役員の選任又は解任、重要子会社の役員等の選任又は解任、CEO等の後継者計画の策定・決定等を、指名委員会の決議事項又は審議事項と規定している例も、少なからず存在するようである。もっとも、指名委員会の法定の権限である株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容の決定以外の事項については、会社法上は取締役会が最終的な決定権限を有しており(同法416条1項乃至3項)、たとえ指名委員会に関する社内規程においてこれらの事項を任意に指名委員会の決議事項又は審議事項としている場合であっても、法的には取締役会において指名委員会の判断と異なる内容の決定を行うことは何ら妨げられるものではなく、取締役会の決定が会社を拘束する最終的な決定となる。これは、取締役会の監督機関としての役割を重く見ているためである。また、東証が取りまとめたコーポレートガバナンス・コードの補充原則4-1③においても、CEO等の後継者計画の策定・運用は取締役会が主体的に関与するとともに適切に監督を行うべきものとされている。

にもかかわらず、実務においては取締役会及び指名委員会それぞれの役割及び権限が必ずしも十分には理解されておらず、株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容以外の事項についても、およそ「指名」に関するあらゆる事項については指名委員会が最終的な決定権限を有しているといった、指名委員会の権限についての(漠然とした)誤解によって、指名委員会等設置会社への移行を躊躇・断念する会社も相当数存在するのではないかと思われる。

そこで、指名委員会等設置会社制度につき制度改善を図る際には、まずは上記のような指名委員会の権限についての誤解を解き、実務において、経営者層を含めて、指名委員会の会社法上の権限について正確かつ適切な理解が周知徹底されることが前提となるであろう。本提言は、以上を強調した上で、指名委員会については、以下のとおり、具体的な制度改善の方策を提言している。

(提言本文より引用)

現行の会社法上、指名委員会の権限は、株主総会に付議すべき取締役の選任及び解任に関する会社提案議案の内容を決定することであることを前提とした上で、以下のA案又はB案のとおりとする。

【A案】 取締役会の過半数が社外取締役である場合には、取締役会の決議により、株主総会に付議すべき取締役の選任及び解任に関する会社提案議案の内容についての指名委員会の決定内容の全部又は一部を修正することができるものとし(取締役会の過半数が社外取締役でない場合には、現行どおり、取締役会は指名委員会の決定内容を修正することができないものとする)、かかる修正がなされた場合には、取締役会による修正後のものを最終的な会社提案議案とし、指名委員会は、その内容について株主総会における意見陳述権を有する(意見陳述の内容は株主総会参考書類に記載する)ものとする。

【B案】 取締役会の過半数が社外取締役である場合には、指名委員会の権限を、①現行の指名委員会のものと同様とする(最終決定機関型)又は②取締役の選任及び解任に関する発議(取締役会への提案)・勧告をする権限のみとする(勧告・発議機関型)のいずれとするかを、取締役会の決議をもって選択できるものとする。

(注1) 【B案】を採用した場合で、会社が②の勧告・発議機関型を選択したときは、取締役の選任及び解任に関する株主総会に付議すべき会社提案議案の内容の決定は取締役会の専決事項とし(執行役への決定権限の委任はできないものとする)、指名委員会には、取締役の選任及び解任に関する発議(取締役会への提案)・勧告をする権限に加えて、その内容に関する株主総会における意見陳述権を付与する(意見陳述の内容は株主総会参考書類に記載する)こととする。

(注2) 【B案】を採用した場合で、会社が②の勧告・発議機関型を選択したときは、指名委員会の権限を、取締役会の決議をもって、株主総会に付議すべき取締役の選任及び解任に関する会社提案議案の内容についての発議(取締役会への提案)・勧告だけでなく、CEOその他の役付執行役の選定及び解職や執行役の選任及び解任に関する発議(取締役会への提案)・勧告をする権限にも拡大できるようにするかについては、所要の検討を行う。

(注3) 【B案】を採用した場合、指名委員会の権限を①の最終決定機関型又は②の勧告・発議機関型のいずれとするかに係る取締役会の決議の内容等を、事業報告で開示することを義務付けることとする。


現行の指名委員会等設置会社制度においては、取締役会の監督機能を強化するための方策として、指名委員会に株主総会に付議すべき選任・解任議案に係る取締役候補者の決定権限を付与し、これを指名委員会が取締役会から独立して自律的に行使するとされているが、指名委員会の権限をこのような建付けとした平成14年商法改正当時の前提は、社外取締役が取締役会の過半数を占める上場会社の数も相当程度増加するに至った現在では、もはや妥当しないと考えられる。また、現行の指名委員会等設置会社制度においては必置3委員会の設置が強制されることに加えて、必置3委員会の権限が法定されているため各委員会の権限が硬直的となっており、柔軟性に欠けるとの指摘もなされている。

この点、米国の委員会設置会社においては、一般に、取締役会には委員会の行為を審査(review)する権限があり、この審査権限の一内容として委員会の決定を覆すことが可能と考えられており(7)、指名委員会(ないしそれに相当する委員会)も、例えば、ニューヨーク証券取引所の上場規則では、①次期年次株主総会における取締役候補者の選定又は推薦、②コーポレート・ガバナンス・ガイドラインの策定及び取締役会への推薦、③取締役会及び経営陣の評価に関する監督等が求められているに過ぎず(8)、指名委員会(ないしそれに相当する委員会)の権限を、取締役候補者の「推薦」に限定し、最終的な選定(具体的には、株主総会に対する会社提案に係る取締役選任議案の内容の決定)は取締役会全体の権限として留保することも可能とされていて、実際にも、多くの上場会社では、指名委員会(ないしそれに相当する委員会)の権限は、取締役候補者の「推薦」等に限定されている(9)。また、英国のコーポレートガバナンス・コードの下で設置が勧告されている、取締役会の内部委員会としての指名委員会の権限についても、取締役と経営陣(senior management)の指名を主導し、その秩序あるサクセションに係る計画の整備を確保することであるとされている(コードSection 3, Provision 17)。ドイツでも、コーポレートガバナンス・コードの下で設置が勧告されている、監査役会の内部委員会としての指名委員会(株主側の代表者のみから構成される)の権限に関しては、株主総会における監査役の選任につき、監査役会に適切な候補者を指名する役割を担うものとされている(コードD.4)。フランスでも、大規模な上場会社に適用されるAFEP-MEDEFコードの下で設置が勧告されている、取締役会(又は二層制ボードの監査役会。以下同じ)の内部委員会としての指名委員会の権限については、取締役会に適切な取締役候補者を提案することやサクセション・プランの設計等であるとされている(コード18.2.1、18.2.2)。

これらを踏まえて、本提言では、指名委員会の権限に係る具体的な改正案として、【A案】と【B案】の両案を提言している。これらはいずれも、大枠において、取締役会の過半数が社外取締役である場合には、株主総会に付議すべき取締役の選任及び解任に関する会社提案議案の内容の最終決定を取締役会が行うことを認めるものである。

具体的には、【A案】は、株主総会に付議すべき会社提案議案の内容につき取締役会と指名委員会との意見が異なるときは、取締役会が指名委員会の決定内容の全部又は一部を修正することを認め、取締役会が指名委員会の決定内容を修正した場合には、取締役会による修正後のものを最終的な会社提案議案とした上で、株主に対して取締役の人事につき十分な判断材料を提供する観点から、指名委員会に株主総会における意見陳述権を付与する(意見陳述の内容は株主総会参考書類に記載する)ものである。

【B案】は、個別の会社のニーズを踏まえて柔軟な制度設計を可能とする観点から、取締役会の決議により、指名委員会の権限を①の最終決定機関型又は②の勧告・発議機関型のいずれとするかの選択を認めるものである。【B案】において、②の勧告・発議機関型を採用した場合には、会社法上、指名委員会に株主総会における意見陳述権が付与される(意見陳述の内容は株主総会参考書類に記載する)点で、監査等委員会設置会社や監査役会設置会社において任意の指名(諮問)委員会を設置した場合と区別される。

なお、本研究会では、【A案】を推す声がやや優勢であったが、指名委員会等設置会社におけるガバナンスを実際に経験した複数の委員等から、この案では、実務上、取締役会と指名委員会との対立を招きかねないことが懸念されるといった意見や、いったん指名委員会で決定された内容を取締役会全体の決議をもって修正することは(取締役会と指名委員会との対立が顕在化することへの懸念等にも鑑みると)そもそも現実問題として容易ではないことに加えて、レピュテーションの問題や「お家騒動」的印象を与えかねないことに照らすと事実上不可能に近いため、このような制度設計は実際上ワークしないとの強い反対意見があった。そこで、本提言では、具体的な改正案につき【A案】又は【B案】のいずれかに絞るのではなく、両論併記としている。

(2)監査委員会の権限等(本提言第2-2)

指名委員会等設置会社における監査委員会の権限等について、何らかの改正をすべきかという点につき、本研究会ではさまざまな議論がなされたが、本提言では、最終的に、以下のとおりの提言がなされた。

(提言本文より引用)

監査委員以外の取締役又は執行役に対して責任追及訴訟等の訴訟の提起・追行・和解を決定する権限は監査委員会に、監査委員である取締役に対して責任追及訴訟等の訴訟の提起・追行・和解を決定する権限は取締役会に、それぞれ付与する。

(注) 監査委員会による訴訟の提起・追行・和解の決定について、全会一致又は多数決のいずれによることとするかは、所要の検討を行うべきである。また、訴訟の追行に関する事項として取締役会で決定しなければならない範囲及び当該決定の委任の可否についても、所要の検討を行うべきである。


これは、会社法上、指名委員会等設置会社と取締役又は執行役との間の訴訟について、監査委員以外の取締役又は執行役が訴訟の当事者である場合には監査委員会が選定する監査委員が指名委員会等設置会社を代表し、他方で、監査委員である取締役が訴訟の当事者である場合には取締役会が定める者(株主総会で定めた者がいる場合にはその者)が指名委員会等設置会社を代表すると規定されているが(会社法408条1項)、訴訟の提起・追行・和解に関する意思決定をする権限を有する者については、明文の規定はなく、解釈論上の疑義もあり得るため(10)、意思決定権限の所在を明確にすべき旨を提言するものである。

4 本研究会で検討・議論したその他の事項等

本提言では、指名委員会等設置会社の報酬委員会の権限については、特段の改正のニーズがないこともあり、また、監査委員の身分保障の強化については、慎重論もあり、特に改正すべき旨の提言を行っていない(本提言第3-1、第3-2)。さらに、現行の会社法では任意の委員会の法的位置付けが不明確である旨の指摘等を踏まえて、取締役会の内部委員会として、会社を拘束する決定をする権限又は取締役会への提案・勧告をする権限を有する任意の委員会の設置権限を法定するかについて検討したが、この点についても改正すべき旨の提言を行うことは見送られている(本提言第3-3)。

【A案】 取締役会の過半数が社外取締役である場合には、取締役会の決議により、株主総会に付議すべき取締役の選任及び解任に関する会社提案議案の内容についての指名委員会の決定内容の全部又は一部を修正することができるものとし(取締役会の過半数が社外取締役でない場合には、現行どおり、取締役会は指名委員会の決定内容を修正することができないものとする)、かかる修正がなされた場合には、取締役会による修正後のものを最終的な会社提案議案とし、指名委員会は、その内容について株主総会における意見陳述権を有する(意見陳述の内容は株主総会参考書類に記載する)ものとする。

5 おわりに

指名委員会等設置会社制度を巡っては、経済産業省の「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」が2025年1月17日に公表した「会社法の改正に関する報告書」や、公益社団法人商事法務研究会の会社法制研究会が同年4月10日に公表した「会社法制研究会報告書」においても、指名委員会等設置会社制度の見直しが検討対象とされており、同年2月10日に法務大臣から企業統治の在り方等の規律の見直しの要否等についての諮問がなされたことを受けて、現在、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会において「社外取締役の選任状況等を踏まえた指名委員会等の権限の見直し」が審議されている。また、政府が2025年6月13日に閣議決定の上公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」においても「指名委員会等設置会社の機関設計について、『攻めのコーポレートガバナンス』強化のための取締役会の指名機能の強化の重要性の著しい高まりを踏まえて、問題点を解消する改良案の策定と立法化に向けた検討を早急に進める」旨が明記されている。会社法制研究会では、指名委員会等設置会社制度を見直すことについて一定の理解を示す意見がある一方で、比較的慎重な意見も見受けられるが、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会での議論は始まったばかりであるため、当委員会としても、引き続き議論の動向を注視したい。

令和元年会社法改正以来、久しぶりに会社法制の見直しが図られる方向であるが、本提言が、指名委員会等設置会社制度の改善、ひいては、わが国のコーポレートガバナンスの高度化の更なる進展に寄与することを強く期待したい。

経営実務者からの視点

長年、指名委員会等設置会社を採用し、モニタリングボード(監督と執行の分離)を志向してきた企業の経営に携わってきた立場から、今回の提言を歓迎するとともに、それに基づく会社法改正に向けた議論の進捗を期待したい。

モニタリングボードを成功させるためには、取締役会の監督機能の充実と執行への十分な権限委譲を、透明で健全な緊張関係のもと、推進することが重要と考える。

この観点からも、監督機関としての取締役会は、執行から独立した社外取締役が過半数を占める構成が理想である。そして、ここが確保できれば、委員会については柔軟な権限設定を認めるべきと考える。国際的な潮流に照らしても、指名や報酬委員会は取締役会から完全に独立した機関ではなく、取締役会から付託された事項を検討・審議する分科会としての位置づけが自然である。国内外の投資家と対話を重ねてきた経験からも、ガバナンスモデルは、シンプルでわかりやすいものであることが望ましい。法律で規制する事項は基本原則に留め、その先の設計や運用は、企業とステークホルダーとの対話に委ねる。そういったアプローチが、日本におけるモニタリングボードの増加にも繋がるものと考える。

神戸司郎  Shiro Kambe
ソニーグループ株式会社 シニアリーガルアドバイザー(前ソニーグループ 執行役 専務(法務、コンプライアンス、プライバシー、サステナビリティ、渉外、品質マネジメント、取締役会事務局担当))

NOTE
  1. 日本取締役協会のHPにて公表されている。
  2. 東証「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況」(2024年7月24日)17頁。
  3. 日本取締役協会「指名委員会等設置会社リスト(2025年5月2日現在)」にて閲覧可能。
  4. 平成12年(2000年)に東京弁護士会会社法部が全国証券取引所上場会社(2,445社)に対して実施したアンケート調査によれば、社外取締役を選任していると回答した上場会社の割合は35.3%(回答した939社中の331社)であり、社外取締役の人数については、そのうち76.7%(331社中の254社)が1名又は2名に留まっていた(東京弁護士会会社法部編『執行役員・社外取締役の実態-商法改正の方向を含めて-』別冊商事法務243号(2001)113-116頁)。
  5. 始関正光編著『Q&A 平成14年改正商法』(商事法務、2003)70頁。
  6. 東証・前掲(注2)6頁。
  7. The American Law Institute, Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations, Section 3.02(b)(4) (1992). ただし、委員会の当該決定により第三者が取得した法的権利を害することはできないものとされる。
  8. NYSE Listed Company Manual 303A.04(b)(i)参照。
  9. 例えば、マイクロソフト、AT&T、JPモルガン・チェース、AIG、ロッキード・マーティン、エクソン・モービル、ゼネラル・モーターズ、ボーイング、ファイザー、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アッヴィ、ギリアド・サイエンシズ、アムジェン、3Mでは、指名委員会(ないしそれに相当する委員会)の規則(Charter)上、同委員会の権限は、取締役候補者の「決定」ではなく、「推薦」等に留まるものとされている。
  10. 訴訟の提起・追行・和解のいずれについても監査委員会が(実質的に)意思決定をする権限を有するといえるとの解釈論も展開されている(岩原紳作編『会社法コンメンタール9-機関(3)』(商事法務、2014)135頁〔伊藤靖史〕、監査等委員会設置会社に関する会社法399条の7に関するものとして岩原紳作編『会社法コンメンタール補巻-平成26年改正』(商事法務、2019)467頁〔田中亘〕参照)。


淡輪敏  Tsutomu Tannowa
日本取締役協会 コーポレートガバナンス委員会 委員長
1976 年早稲田大学商学部を卒業後、三井東圧化学(現 三井化学)入社。基礎化学品事業部門や人事部門などを 歴任、2014 年代表取締役社長執行役員に就任。2020 年代表取締役会長、2023 年より取締役会長を務める。 現在、諸団体の代表のほか、KDDI 及び東京ガスの社外 取締役として指名委員会委員長も担う。

太田洋  Yo Ota
日本取締役協会 コーポレートガバナンス委員会 副委員長、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー
91年東大法学部卒業、93年弁護士登録。2000年ハーバー ド・ロースクール卒業、01 年 NY 州弁護士登録。専門は M&A、コーポレートガバナンス、税務など。日経新聞「企 業が選ぶ 2024 年に活躍した弁護士ランキング」企業法 務全般(会社法)分野第 1 位など受賞多数。主な編著書 に『コーポレートガバナンス入門』(岩波新書)ほか多数。

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