2026年5月10日
星岳雄(東京大学 大学院経済学研究科 教授)
冨山和彦(日本取締役協会 会長)
冨山和彦 日本取締役協会会長がガバナンス改革の最前線に立つ有識者を直撃インタビューするシリーズ企画。今回のゲストは星岳雄・東京大学 大学院経済学 研究科 教授です。星教授はデフレによる長期停滞期をようやく脱した日本経済の構造転換の必要性を訴え、「イノベーションを望む株主が会社のステークホルダーとして存在することが重要だ」と強調しています。
星 日本の長期停滞ということでは、現状は、停滞の深刻な局面は抜け出せたところだと思います。もはやデフレではないし、むしろインフレを気にしなければいけない段階です。
振り返ると、深刻な局面に入ったのは1997-98年の金融危機以降でした。それ以前は、バブルが崩壊して景気が冷え込んだといっても、いずれ回復が見込まれるような通常の不景気で、実際1996年頃には回復期に入ったように見えました。ところが、その後金融危機になって、銀行も一部潰れるようになった。一方事業会社の方は、潰れるべきだったのに潰れずに、ゾンビ企業として生き残る会社が発生しました。2000年代の小泉政権でようやく不良債権処理が進んで、2006年頃には経済も回復し始めたところに、世界金融危機が来ました。
2012年からのアベノミクスは、金融緩和・財政支出・成長戦略という"3本の矢"で、長期停滞から日本経済を回復させるために需要と供給の両面を刺激しようとしました。これは、当時としては正しい政策だったと思います。少なくとも需要刺激策はある程度成功して、デフレではない状態に持ち直したと思います。ここに来て、供給制約が顕著になってきたと思います。
冨山 経営現場感覚では、2012-13年辺りから労働供給制約、人手不足を感じていました。
星 そうですか。デフレ期には、たしかに需要だけでなく、供給の方も足りなかったと思います。もしも供給が順調で需要だけが足りなかったら、もっとデフレが進んでいたはずですから。ただし、緩やかなデフレがあったことを見ると、供給不足よりも需要不足の方がより大きかったと考えられます。
冨山 それは"モノの経済"に関してでしょうか。意外と日本経済は"コトの経済"にシフトしています。輸入できるので、"モノの経済"は供給不足にはなりにくい。人手が一番足りないと影響するのは、実は"コトの経済"であるサービス業系です。日本のGDPの半分以上は対面型の労働集約産業で、そこではずっと供給不足が続いています。
星 その部分は、見えにくかったですね。
冨山 マクロ経済の需給ギャップ論は、僕の実感とはずっとズレています。政府や日銀が、供給力が余っているという時でも、全然人が足りない。例えば公共交通、建設現場、飲食サービスでは、継続的に人が足りない。資本財、例えば車両が余っていても運転手がいないから動かない。労働供給過剰から、少子高齢化の進行で2010年代半ば頃にはほぼ完全雇用に入りました。社会的な空気感で言うと、モノが足りないよりも、人が余っている方が深刻です。失業問題になるので。その状況は、第二次安倍政権の時代に脱却したような気がします。アベノミクスと少子化、―つまり生産年齢人口が急減 ― がダブルで作用しました。
そこで労働市場の問題が経済停滞に強く関係するようになる。実感はアンビバレントな、モノの経済は余り気味だけれど、コトの経済が足りないという景色でした。
星 モノの経済は供給過剰でコトの経済は供給不足という状態だったとすれば、その1つの理由は、雇用の流動性がなかったということでしょう。モノの生産がフル稼働でないところにも人がついていた一方で、コトの生産のための労働者が不足していた。生産設備は余っていて、人も余っている産業から、人が足りない産業への労働移動が起こらなかった。こういうことではないでしょうか?現在では、全体的に労働力不足が明白になっています。まずこれを理解するのが重要です。ここ10年ぐらいは、労働参加率の増加で人手不足を補うことによって経済が成長してきましたが、参加率のさらなる上昇は、そろそろ限界となりつつあります。今後、労働力不足が続く中で経済成長を実現できるかどうかは、いかに生産性をあげるかにかかってきます。
冨山 日本型の産業構造、労働流動性や雇用慣行など、それまでの経済成長を牽引していたいくつかのモデルからなかなか変革できていない。その制度的呪縛がすごく強い気がします。
星さんが言われた、マクロ経済的な長期停滞の問題に対峙するときは、産業構造の賞味期限切れ問題が同時に起きているのが普通です。その問題に手を付けるには、経路依存性をぶち壊すという政治的勇気が政府にも国民にも必要。それがないと、ゾンビ型企業温存へと向かってしまいます。
星 追いつき型の高度成長時代には日本型モデルがぴったりはまりました。しかし70年代後半から80年代前半には、明らかにはまらなくなってきた。バブルがその問題を隠しために調整が遅れたとも言えます。
冨山 産業構造を転換すると、必ず摩擦的失業が生まれます。供給過剰な状況の中でそれを選択するのは社会的にはタフです。選ばないなら、ゾンビ化している企業を助け延命させて、社会の安定状況を引っ張るという方向に、政治は動く。ひょっとするとそれは政治の選択であり、暗黙の国民の選択であったのかもしれません。
星 ある意味では正しかったかもしれません。反対側に極端に進むと、失業が増え社会的な不安も増え、ポピュリズムに走るというようなことになっていたかも知れませんから。
冨山 だから評価が難しい。停滞だが安定を選択した、その功罪両方がある。失業率も上がらず、産業構造も変わらない。生産性も上がらず、所得も増えない。まったりと安定した社会になっています。
星 停滞と言っても生活水準が落ちたわけではなく、まあまあやってこられたわけです。
冨山 そう、比較的心地が良い。じわじわと貧しくはなるが、物価も下がるので生活できなくはない。街にホームレスがあふれているわけでもいない。
ただし問題は、いよいよ人手が足りなくなりインフレが進むと、"停滞だが安定"というこの均衡を維持できなくなる点です。今後、急激に生活は苦しくなる気がします。そうすると産業構造とジョブ構造を同時に変えないと、賃金は上がらない。
星 賃金や物価が全体として上がると、うまくいっている企業の賃金は上がっていきます。やがてそういう人たちを雇えない企業も出てくる。もし政治的な介入や抵抗がなければ、構造改革・企業淘汰は自然と進むはずです。
冨山 今の経済政策は、農業と同じで補助金前提です。もし補助金供給を続けたら、結局は、構造転換を止めてしまう。そういう意味では、ここにきて、ある種の変曲点が近づいている気がします。
構造改革が自然に進む状況になっているのだから、進むように手を離せばいい。手を離すと、すごく失業が増えてしまうと思う人が今でも多いです。最低賃金を上げると世の中に失業者が増えると、政治家も某経済団体もいまだに言いますが、絶対起きないと確信しています。
星 3年ぐらい前までは、もう日本は物価も賃金も絶対上がらないと言っていた人が結構いました。ところが、実際はそんなことはなかった。構造改革も、実際に進むようになれば、確信が揺らいでくるのではないでしょうか。
冨山 長きデフレ時代を経て、条件反射的に「最低賃金を上げる、中小企業がバタバタ潰れる、失業者が増える」という頭の構造になってしまい、そこから脱却できない。今、中小企業倒産は賃金が払えないために倒産、あるいは人材を失って廃業する。安い賃金しか払えないから潰れるのですが、賃金を上げられない企業には補助金まで出すようなことをやる。所得補償を国がしているので、これは本当に良くないですね。
星 そういう状況判断とか、組織構造などの現状維持バイアスについては、"世代による差"がある、という議論が、最近の経済学ではあります。自分が経験したことを引きずる、という議論です。
大不況を経験した世代は、なかなか株式投資をしない。日本でも、長年賃金も物価も上がらずデフレ時代を経験した人は、期待が変わりにくいのかもしれません。
冨山 現在のインフレ環境は、むしろ構造転換を進めやすく、伸びしろがあると思います。構造転換が必要となった背景は、2つあります。1つは東西冷戦が終わり、グローバル産業の供給構造が変わったこと。中国等の潤沢で安価な労働力が市場に流れ込み、日本の大量生産モデルを終わらせた。2つめはデジタル革命です。さらに日本は労働力供給不足の時代になりました。デジタル革命がAIフェーズに入ると、様相はまた大きく変わるでしょう。
星 日本企業は、デジタル技術の導入で遅れ、AI活用度の国際比較でも最下位です。また大変なことになる気がします。本来は労働者の賃金が高くなる現実に直面し、AIやDX投資なしでは、企業は生き延びられないという状態になるはずです。
冨山 生成AIは自然言語で使えるため、ハードルが劇的に下がりました。さらにAIはフィジカル領域でも進化している。人手不足に苦しむ労働集約産業にとっては明らかにプラスです。
日本でもファミレス等でQRコード注文になり、掃除や配膳ロボットが普通に走っている。人手不足を梃に導入が進み、生産性は確実に上がりました。
星 AIが画期的なのは、ホワイトカラー業務も置き換えるところですね。
冨山 そうですね。ホワイトカラーから、人手不足の現場に、人が移ることが可能になる。日本は人手が足りなく、かつ難民との競合も起きない。とても良い状況が来ています。新しいテクノロジーをベースに産業構造が変わるとき、当然イノベーションの議論になります。
イノベーションを妨げるものには、経路依存性などさまざまな障壁があります。例えば、日本は制度規制が多すぎて大変です。コロナ禍がなければいまだに遠隔医療は認められてなかったでしょう。
星 規制改革が進まない理由は2つあります。1つは、新しいことを導入すると損をする人が必ず出るので、規制を使いながら既得権益を防御しようとすること。2つ目は、導入してみるまでは何が起こるかわからないこと。不確実性が高いので、誰も反対論を押し切れない。コロナのような緊急事態では、無理にでもやってみる。すると初めて"できた"となる。
冨山 例えばライドシェアなども、いまだにこの国は実現できていません。政治家の多くが、規制緩和すると働き手が殺到して賃金が下がり、ワーキングプアになると言う。先行する米国の悪い例だけを引いて議論が進むのです。超人手不足社会でそんなことは絶対に起きないのですが、みんな「デフレ脳」から脱却できない。
星 イノベーションとは、これまでより価値の高いモノやサービスが生まれる、またはより効率的な生産過程が見つかることで、基本的には"儲かるところ"で起きます。
ただ導入は難しい。大企業を想定すると、競合部門や悪影響を受ける事業があり、その兼ね合いをつける必要が生じます。経営者としてどう解決するかという困難があります。
冨山 取締役会を中心とするガバナンス、つまりある種の外圧が、変革を促すうえで大事かもしれません。
星 イノベーションを望む株主が、会社のステークホルダーとして存在することが、最も重要だと思います。
冨山 従業員も同様です。特に優秀な若い人が辞めるとき、いわば彼らが社長や経営陣を"クビにしている"のです。経営者にとっては重要なメッセージです。希望退職では、"優秀な人から辞めていく"と愚痴る人がいます。なぜ辞めるかを考えるべきです。これまでの処遇がおかしいということですよ。
星 退職者へのインタビューを実施しない会社が多いという印象です。どうして辞めていくのかは、重要な情報ですから、日本の経営者はもっと退職者へのインタビューをきちんとやった方が良いと思います。
冨山 "良い人が辞めてしまう"論は、いまだにみんな言います。残念ながら経営者のレベルが低すぎる。優秀だと評価される人に、適切に処遇していれば、辞めないはずです。能力やケイパビリティに対する自己評価よりも低いポジションに押し込めるのは、年功制の弊害です。「まだ早い」という理由で、事業本部長の能力がある人を次長などに置いています。
星 希望退職をやると、外部オプションの方が今の待遇よりも良い人から辞めていきますからね。
冨山 優秀な人が辞めるとショックを受ける前に年功制を完全に廃止して人的資本経営を大改革すべきです。いかに解像度のゆるい人事をやっているかということ。今は特に若い人には、それでは通用しない。
カネボウ再建時には、その時41歳で課長ぐらいだった人をいきなり社長にしましたが、何も問題なかった。日本のいわゆるサラリーマンは、35歳から経営者になる55歳位までの20年間は"暗黒"、ほぼ無成長という感じがあります。
星 将来の経営者としての素質を伸ばす仕事をしていないのですね。
冨山 中間管理職で調整仕事、―もっとも不要になりつつあるホワイトカラーの仕事―をしています。またこの20年間の間に、揃って文章を書かず読まなくなり、愚かになってしまう。"部下力"だけを鍛えている感じです。"ボス"とは、自分で問題設定をして、自分で決断して自分で責任を取るという仕事です。
教育テーマとして、30代からどうやって"ボス力"をつけるのかが今後かなり大事になる気がします。"部下力"の時代から"ボス力"の時代に変わる。部下は軋轢を起こさないことを問われ、ボスは軋轢を起こすことが必要になる。先ほどの「軋轢を嫌う」傾向とも、全部繋がっている気がします。
星 確かにそうですね。
冨山 経営者市場で顕著なのは、事業承継の失敗や廃業が圧倒的に多いこと。倒産1件の背後に後継者不足案件が20件くらいある。息子や娘の後継者たちが会社を見限り、ゾンビ存続している親の会社を継がないと言うわけです。
中小企業のM&Aは劇的に増えていますが、もっと増えた方がいい。M&Aも、経営者も、最後には働き手も、資本主義のディシプリンが働いて真っ当になっていく。ダメな会社を辞めて良い会社に入る、賃金の良い会社に移る。ちなみに今の倒産の多くは人手不足由来で、倒産が増えても誰も困らないのです。
冨山 ガバナンスの話に戻ります。長期停滞を経て、高市内閣が新しい成長モデル展開しようとしている。成長モデルに転換するには、投資とイノベーションを促進して活性化させないと成長はありません。その際、特にガバナンスを促し、機能させるべきではないでしょうか。
資本民主主義型のガバナンスが機能すれば、株主に選ばれた取締役がトップに立ち、抵抗を抑えながら、イノベーションを進めることが可能です。悪影響を受ける部門の従業員や経営幹部は、最大の抵抗勢力になります。これをいかに解決すべきでしょうか。
星 1番良いのは、そういう人たちが別の仕事に移っていくということです。違う会社・分野に移動できれば、より適した場所を選択する余地が広がります。
冨山 野球からサッカーにゲームを変える作業を、従来の日本的経営では無理やり野球しか知らないメンバーでやろうとしていたように感じます。ゲームチェンジの幅とスピードが大きく増す中でそれでは勝負にならない。みんな不幸になる。余裕があるうちに、きちんとお金も時間も与えて、転身することを促す、あるいはまだ野球をやりたい会社があれば事業部ごと売却する方が、従業員には優しいのではないでしょうか。
仮に松下幸之助氏が今の時代に生きていたら、僕と同じことを言うのではないかと思います。しかし取締役会などでこういうことを主張すると、昔の美談を持ち出されて、かなりの抵抗を受ける。ガバナンスを嫌うのは、特にこのタイプです。
星 確かに、全員一丸となって一方向に進もうとするようなタイプは、ありますね。
冨山 「技術からモノを大量生産して儲ける」のは、完全に古き良き高度成長期の日本モデルです。今の成長戦略もそれに近い。しかし政府が一生懸命シナリオを描いても、5年ほどで崩壊します。たとえば、今の液晶の基礎技術の多くは日本製ですが、ビジネスモデルと産業構造に劇的なイノベーションが起き、その果実を手にしているのはおそらくApple社とNetflix社です。液晶自体は汎用品になり、中国勢でも儲かっていないでしょう。
ゲームチェンジの時代では、なにに将来性があるかどうかはわかりません。民間企業が持っている機動性、アニマルスピリッツが大事になり、議論はガバナンスの話に戻ります。
星 ガバナンスに加えて、社会全体のリスキリングも必要でしょう。企業内外での教育、さらにその前段階の学校教育を、どう変えていくのかです。
冨山 大学入学をゴールにするので、日本の教育体系は大学のありようが小中高を決めてしまっているところがあります。大学が変わることが重要だと思いますが、高等教育はどうあるべきでしょうか。
星 変化の大きい時代には、小学校から努力して能力を身につけ、一生役に立つ、ということはもうありません。基礎的な学力は小中高で身に付けて、大学では"わからない問題を考える力"をつける。そのうえで、その時々の社会や経済情勢の下、自分の能力に合った職を探す。自分の能力を常に鍛えていくリスキリングの機会も重要でしょう。そうしたフレキシビリティを持つためにも、最初から多様な選択肢があった方が良いとも思います。
大学も幅をさらに広げるべきでしょう。AIが出て来ると、正解を探す能力は重要度が下がります。その先に何をするか、知識をどう役立てるか。知識の当てはめだけでは解けない実際の問題をどう解くかが問われます。
冨山 AIを大学入試で使えるようにしてしまえばいいですよね。
星 私もそう思います。東大がやればほかの大学もやるようになると思います。
冨山 日本の社会システムで重要な役割を果たしている大学教育が変わることは、今後重要だと考えます。大学業界の空気は、「このままではまずい」という感じになっていますか。
星 そうなっています。少子化で大学進学を希望する学生の数が減り、独自性を出さないと生き残れない大学が出てくると思われていますから。
ただ、大学を変えるには、学長をはじめとして改革を実行していく強力なリーダー達が必要ですが、ここが心もとないと思います。日本では、東大も含めて学長の任期は一律5、6年に決まっていて、再任も中途解任もないようになっています。これでは、改革の長期的プランは建てにくい一方で、うまく結果をだせていない学長を任期満了前に解任することもできない。これはアメリカのトップの大学のやり方とは全く違っています。たとえば、米スタンフォード大学はその135年の歴史で学長は現在13代目です。20年くらい務める人もいれば、1、2年で終わる人もいる。
冨山 企業もそうですが、日本は辞めさせる仕組みの強靭性に自信がないので、任期制にしてしまいます。この強靭性が、本来はガバナンス力なのですが。
少子高齢化社会においては、不合理な仕組みです。長い間生きていれば差が開く。それを一律で辞めさせるのは、人材の機会損失を大きくします。本来は合理的に、年齢ではなく実力で判断し、辞めさせる仕組みを整えたほうがいい。
今後、日本は人的資本で勝負しようと言っています。もっと"個の力"をと言っているわけです。であれば、高感度で解像度を上げた人材マネジメントを行わないと、結局は長期停滞に逆戻りする気がします。
星 個々の能力や成長をきちんと見極め、会社への貢献という視点から、昇進や配置を決めていく、そういう人事をやれる企業が残ると思います。
冨山 それがほんの一部にとどまっているのが問題です。当協会は実施する企業表彰コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーでも、受賞企業の顔ぶれがいつも同じになってしまいます。要は、停滞の中で心地よい緩慢な状態を選ぶ会社が7 - 8割ある。一方で、これではダメだと頑張っているソニーやリクルートというような企業は努力し、栄えていく。
星 労働市場がもう少し柔軟になり、良い企業が働き手に選ばれる、あるいは働き手に選ばれない企業は成り立たない、そういう競争が起こると良いですね。
冨山 やはり市場のディシプリンが効くというのは、良いことですね。
星岳雄
Takeo Hoshi
東京大学 大学院経済学研究科 教授
東京大学卒業後、1988年に米マサチューセッツ工科大学で経済学Ph.D.を取得。1988-2012年カリフォルニア大学サンディエゴ校で助教授、准教授、教授を歴任。2012-2019年スタンフォード大学フリーマン・スポグリ研究所シニアフェロー。2019年より現職。専門はマクロ経済学、金融論、日本経済。日本の金融システムや長期停滞、ゾンビ企業問題の研究で国際的評価を受け、2005年に日本経済学会中原賞を受賞。主著に『日本金融システム進化論』『何が日本の経済成長を止めたのか』『日本経済論(伊藤隆敏氏との共著)』など。
冨山和彦
Kazuhiko Toyama
日本取締役協会 会長
日本共創プラットフォーム(JPiX) 代表取締役会長
ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクションを経て、産業再生機構設立時に参画。解散後、経営共創基盤(IGPI)を設立。内閣官房「新しい資本主義実現会議」委員、金融庁・東証「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」委員ほか政府関係委員多数。著書に『ホワイトカラー消滅』『コーポレート・トランスフォーメーション』『社長の条件』他。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格
撮影:小泉賢一郎