コーポレート・ガバナンス・オブ・ザ・イヤー®2018 受賞企業発表

2019年2月 1日

日本取締役協会は、企業表彰コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーの2018年度受賞企業を決定しました。

受賞企業

Grand Prize Company

ヤマハ株式会社

Winner Company

TDK株式会社

明治ホールディングス株式会社

経済産業大臣賞

オムロン株式会社

東京都知事賞

大和ハウス工業株式会社

cgoy

®Registered Trademark-登録商標

選考方法と表彰理由

1)Grand Prize Company 、Winner Company

入賞各社は、いずれもコーポレートガバナンスを意識した経営を行い、自社を改革しながら、中長期の健全な成長を実現している企業と評価しました。

Grand Prize Companyに選出されたヤマハ株式会社は、コーポレートガバナンスの形式と実質を同時に変革した企業です。指名委員会等設置会社への移行、社外取締役の選任比率の引き上げ(3分の2)、業績評価を入れた先進的な報酬制度等、独自の工夫も行っています。その結果として、グローバルな競争が厳しい業界において、利益率を向上し、高い収益を上げている点が評価されました。

審査委員長 斉藤惇氏(日本野球機構会長・プロ野球組織コミッショナー)は、「ガバナンスの意義と必要性を理解し、機能するように着々と進めている。時代の動きに対応して事業を変革、業績を向上させた。世界有数の企業がしのぎを削るB to Cビジネスで、成功している日本企業として、素晴らしいコーポレートガバナンスの実践例だと言える」とコメントしています。

審査のポイントは、1)コーポレートガバナンス・コード全則が適用される東証1部上場企業(約2,000社、2018年8月1日現在)の中から、2016年~2018年を通じて社外取締役3名以上を選任していた企業625社を対象に、2)稼ぐ力の指標として、非金融 3期平均ROE10%以上 、ROA5%以上、金融 3期平均ROE10%以上、ROA2%以上、また社会への貢献度の指標として時価総額1,000億円以上である企業106社を選びました。

次に加点要素として、3)ガバナンス体制整備の指標として、特定の大株主がいない、開かれた株主比率(30%以下)、取締役会議長の執行からの分離(社外取締役、非執行=代表権の有無)、独立取締役比率、組織形態、指名・報酬委員会(任意も含む)の設置、4)パフォーマンス評価として、みさき投資による経営指標分析を活用、時価総額や営業利益の安定性などの総合評価を行い、Winner Company 3社を選出。

最後に5)審査委員によるCEOへのインタビュー調査を行い、Grand Prize Company 1社を決定しました。

候補企業群の経営力の判定には、みさき投資の企業分析の枠組み「みさきの黄金比®」を活用しました。これは経営指標間のあるべき関係、「ROE≧ROIC≧ROA≧WACC」を示した式で、左から「事業リスクに見合った財務リスクの取り方」「余剰資産を持たない経営」「資金提供者の期待リターンを上回る資本生産性」という観点を満たしているかを評価する枠組みです。

※みさき投資株式会社『働く株主®』をコンセプトとしたエンゲージメント投資を専門とする資産運用会社。2013年に設立され、現在企業年金・大学基金など国内外の投資家から資金を受託し、日本の優れた上場企業10数社に厳選した長期投資を行っています。

審査委員会 

委員長:斉藤惇氏(日本野球機構会長・プロ野球組織コミッショナー)
委員:井伊重之(産経新聞 論説委員)、伊藤邦雄氏(一橋大学CFO教育研究センター長、一橋大学大学院商学研究科特任教授)、太田洋氏(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士)、冨山和彦氏(当協会副会長、株式会社 経営共創基盤 代表取締役CEO)、中神康議氏(みさき投資 株式会社 代表取締役社長)

2)経済産業大臣賞

成長戦略としてのコーポレートガバナンス改革の「形式から実質へ」の深化に向け、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」(平成30年6月改訂)及び経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)(平成30年9月改訂)が改訂されたところです。

これらの改訂の趣旨を踏まえ、特にガバナンスの根幹である社長・CEOの選任・後継者計画について、独立した指名委員会を中心とした実効的な監督を行い、成果を上げていると認められる企業に対して、経済産業大臣賞を付与されます。

表彰理由

特に以下の点を評価しました。

  • 社長の指名に特化した委員会(社長指名諮問委員会)を設置し、当該委員会では、社長は意見聴取は受けるものの、委員ではなく、審議には加わることが出来ない旨を定め、かつ、その旨をコーポレートガバナンス報告書において開示しているなど、社長の指名プロセスの透明性が高いこと。
  • 当該委員会は非業務執行取締役のみで構成され、かつ、過半数及び委員長は社外取締役となっており、この委員会を通じて2011年に現社長を指名し、その後も毎年度、業績評価に基づき続投の適否を審議・決定しているなど、社長の指名に特化した委員会の実効性が確保され、活用実績もあること。
  • 現社長就任後、ROEが市場平均を上回り上昇傾向にあるなど高い業績を挙げていること。

審査委員会

委員長: 橘・フクシマ・咲江氏(G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長)
委員: 大杉謙一氏(中央大学法科大学院 教授)、澤口実氏(森・濱田松本法律事務所 弁護士)、三瓶裕喜氏(フィデリティ投信株式会社 ヘッド・オブ・エンゲージメント)、芝坂佳子氏(KPMG Japan Integrated Reporting CoE)、中神康議氏(みさき投資 株式会社 代表取締役社長)

3)東京都知事賞

東京都が推進する「国際金融都市・東京」構想 (平成29年11月)においては、金融による社会的課題解決への貢献を1つの柱とし、ESG投資を重視しております。東京都知事賞は、コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2018の選考対象企業のうち、コーポレートガバナンスが優れていることに加え、環境対応、女性活躍推進、ダイバーシティ対応、働き方改革などのESG活動を積極的に行っていると認められる企業に対して付与されます。

コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー運営体制

主催 一般社団法人 日本取締役協会
後援 金融庁、経済産業省、法務省、東京都、東京証券取引所/日本取引所グループ
協力 日本公認会計士協会、一般社団法人 日本IR協議会、アジア・コーポレートガバナンス協会
データ分析協力 みさき投資株式会社