日本取締役協会(会長:冨山和彦)は、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)の改訂に関する提言を公表しました。提言は、形式的対応にとどまりがちな現行ガバナンスを「実質化」することを目的とし、企業の中長期的価値向上に資する経営資源配分、取締役会の監督機能、開示、株主総会運営の改善策を具体的に示しています。
まず、成長投資を重視し、短期的な株主還元要求に安易に応じるべきではないと指摘しています。設備投資や研究開発、人的資本などへの投資を優先し、その成果を踏まえた株主還元を行うという順序を明確にし、中長期の価値創出を重視する経営が必要であるとしています。
また、取締役会の監督強化に向けては、独立社外取締役による実効的な指名機能の整備を求めています。特に、社外取締役については「質」の向上が急務であり、そのための研修体制の充実が不可欠であるとしています。加えて、取締役会事務局(コーポレート・セクレタリー)や法務最高責任者(CLO)の機能強化など、専門性の高い支援体制の整備にも踏み込んでいます。
さらに、有価証券報告書の開示時期が株主総会準備を圧迫している現状を踏まえ、総会3週間前の開示を確実に実施するためには、総会開催の後ろ倒しが現実的であるとしています。
金融庁のCGコード改訂案が原則主義・スリム化を掲げる点に賛同する一方、当協会の提言は、短期主義の抑制、指名機能の実効性向上、取締役会支援基盤の強化、総会運営の改善など、より実務に踏み込んだ点が特徴となっています。