2026年5月20日
公益社団法人 経済同友会 一般社団法人 日本取締役協会
今般、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会から、「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」が公表されたことを受け、日本取締役協会と経済同友会は、企業経営者(企業経営の現場)の立場から、別添意見書のとおり意見を述べる。なお、当該意見書は、主に上場会社・大会社を念頭に置いたものである。
わが国経済が構造的転換期を迎える中、企業経営者が自律的に改革を進め、成長投資・事業再編・賃上げへの好循環を実現することが不可欠である。そのため、今後の会社法改正は、画一的な規制の積み増しではなく、各社の実情に応じた実質的なガバナンス改革を促し、建設的な対話・迅速な意思決定・適切なリスクテイクを支える制度整備を重視すべきと考える。
株式の無償交付については、既存の法制度の枠組みを維持しつつ規律を整理するA案を支持する。株式交付制度については、子会社の株式の追加取得を広く対象とするA案、外国会社・持分会社への対象拡大および債権者保護手続の廃止を支持する。自社株対価M&Aを阻害し得る反対株主の株式買取請求権は廃止すべきであり、少なくとも計画公表後に株式を取得した株主による行使は制限すべきである。現物出資制度については、検査役調査の省略要件の追加および不足額填補責任の限定(A案)を支持する。
バーチャルオンリー株主総会については、定款の定めを要件とせず広く実施可能とすることを求める。物理的制約を超えた株主参加の促進等の観点から、早期の法整備が望ましい。実質株主確認制度については、株主との実質的対話を促進する観点から制度創設を支持するが、義務違反があった場合の制裁として過料のみでは実効性が不十分であり、仲介機関等の義務違反には議決権停止などの実効的な制裁を設けるべきである。事前の議決権の行使により株主総会の決議の要件を満たした場合において、株主総会の議長がその旨を宣言したときは、株主総会の決議があったものとみなすことに賛成する。株主提案権については、議決権数の要件を廃止すべきである。業務調査者制度(会社316条2項)は、アクティビスト等による濫用が懸念され、また経済安全保障や機密情報の流出といった観点からも極めて重大な問題を孕んでおり、廃止すべきである。
指名委員会等設置会社における指名委員会等の権限については、取締役会の過半数が社外取締役である場合には取締役会決議で指名委員会の決定を覆すことができる旨の規律を設けるA案に賛成する。報酬委員会も同様に現行の規律の見直しをすることに賛成する。責任限定契約制度については、業務執行取締役等にも対象範囲を適切に拡大し、利益相反行為を対象外とすることで、経営陣の適切なリスクテイクを後押しする環境を整備すべきである。事業報告等と有価証券報告書の開示の合理化については、重複を排し、投資家にとって有用な情報提供の実質化を推進すべきである。
取締役会の権限に属する業務執行に関する事項を目的とする株主提案権の行使・臨時株主総会の招集請求については、たとえ定款変更議案と組み合わせることでも不可とすべきである。公益目的での自己株式の処分については、社会課題解決に取り組む企業の行動を後押しする観点から、手続の簡素化を求める。
いずれの論点についても、形式的な制度整備にとどまらず、企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上に真に資する制度設計を強く求める。
(参考)詳細は「意見書本文」をご参照ください。