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ロビー活動:アジア・コーポレート・ガバナンス協会(ACGA)(香港) 東京会議

2007/11/08

日時:2007年11月8日9:00〜17:45  会場:コンラッドホテル東京
主催:アジア・コーポレート・ガバナンス協会(ACGA)(香港) 
協賛:日本取締役協会
Principal Sponsors: Aberdeen Asset Management Asia, Chubb Insurance, CLSA Asia-Pacific Markets, Supporting Sponsors: Deloitte, Hermes Pensions Management, SAP,


2007年 コーポレート・ガバナンスに関するアジア・ビジネス・ダイアローグ
「コーポレート・ガバナンスを通じた企業と資本市場の強化」



コーポレート・ガバナンスの重要性を認識することが日本企業の躍進につながる

宮内義彦氏当協会会長の宮内義彦氏が、『日本のビジネスにおけるコーポレート・ガバナンスの重要性("The Value of Corporate Governance to Japanese Business")』と題する基調講演において、「日本企業のコーポレート・ガバナンスは発展途上ではあるが、少しずつ前進している」と語った。

宮内氏はまず日本独特の経営として、企業を取り巻く全てのステークホルダーに気を配る利害関係者資本主義を挙げ、欧米を中心に広がりを見せる株主資本主義と対比させながら説明をした。また、90年代のグローバリズムの中で日本企業が収益・競争力共に米国に追いついていない原因としてコーポレート・ガバナンスの未整備を挙げ、経営陣が良識を働かせて経営をする賢人経営ではグローバルな経営環境で戦っていくには限界があるという認識も示した。

その他に、問題意識を持った経営者の間で日本取締役協会をはじめとする各種団体が設立された流れや、商法改正や執行役員制度・委員会設置会社の導入という日本におけるコーポレート・ガバナンス関連の動きも紹介した。

さらに日本の現状ということで株主構成やM&A件数の推移をグラフで説明し、今後は外国人をはじめとする機関投資家やファンドから高いリターンを求めるプレッシャーが強まる為、経営者も株主の要求に応えるように企業価値を向上させることが強く求められるだろうという見通しを語った。

最後に、コーポレート・ガバナンスに対する理解が経営者だけでなくマーケット(市場関係者)の中でも高まっていくようになれば、日本型のシステムが確立されるのもそう遠くはないだろう、と締めくくった。

投資家に魅力的な市場となるために、税制や政策、上場基準の中にコーポレート・ガバナンスをとり入れていくべきである


神田秀樹氏続いて「日本経済の回復に対するコーポレート・ガバナンスの貢献----そして改革に向けた課題」について、神田秀樹・当協会副会長、キャシー松井・ゴールドマンサックス証券 マネージングディレクター他による討論が行われ、直近の物言う株主の登場は、企業経営に緊張を与えるようになったものの、ポイズンピル導入の悪影響により、コーポレート・ガバナンスについては前進と後退があると論じた。

松井氏より、日本企業では80年代にROEの悪化があったが、02年以降コーポレート・ガバナンスの改善により、業績の上昇、配当の改善が見られるようになったが、依然配当利回りはアジア平均の2.7を大きく下回る1.4で、05年以降のM&A件数は増えているものの、買収金額や世界でのシェアは下がっているとの報告があった。これまでの日本経済は経常黒字で国内に資金もあったが、労働人口が少なくなり、貯蓄が海外に流出していく中で、 ROEを上げる努力をするべきだと述べた。

神田教授は、コーポレート・ガバナンスについて進化の流れはあるものの、変化の要因は主として市場であり、法律面での進展は徐々にという感じであった。それでも会計制度や社外監査役の強化などの法改正がなされた。現在ホットな話題としては、ブルドックソース社による買収防衛策に関する最高裁の決定が今後株の持ち合いを助長しないかといった問題が論じられていると語った。

物言う株主の登場は、コーポレート・ガバナンスの面では、割安な企業がなぜ上場しているのかというような問題提起になり、役に立つ部分もあったのではないか(松井氏)、ポイズンピルと株価の関係性はないとの米国での研究結果があるが、日本では2005年に導入した会社についてはマイナスの効果、 2006年に導入した会社については有意な影響はないというのがこれまでの実証研究の結果である(神田教授)という指摘があった。

取締役会の構成や決断が、企業の長期的繁栄に影響を与える

原良也氏次に原良也・当協会副会長、メリッサ・ブラウン(アジア社会責任投資協会事務局長, Asria)、クリストファー・アイルマン(カリフォルニア州教職員退職年金基金 最高投資責任者, Calstars)他が登壇し、「社会面および環境面での要請に応える際における取締役会の役割」をテーマに議論を行い、CSRに関する企業の取り組み、機関投資家の投資の状況などについて意見交換がされた。

最初に原副会長より基調スピーチが行われた。コーポレート・ガバナンスは市場が育てるものであり、資本市場の未熟さにより、日本企業のコーポレート・ガバナンスに関する問題が起きてしまったと思われ、CSRもこの延長上にある話で、ここ10年間に取り組みを始め、具体的な目標を定めて活動している企業も増えてきた点に触れられた。透明性の高い、社員共通の価値観を持った経営を行い、ステークホルダーの信頼を得ることができた上で、利益を上げていくことが大切だろうと述べた。

パネラーからは、機関投資家であっても20年を超える投資を行っている場合もあり、経営者には長期的視野を持ってほしい、また日本企業はROEが伸びていないので、CSR含めいろいろな課題をクリアーして利益を上げてほしいとの意見があった。日本企業は積極的なCSRの報告を行っている国だが CO2排出については、他のアジア諸国と同様に消極的になる、この問題については、日本企業は規制リスクと見ているが、アジア諸国ではビジネスチャンスととらえている点が興味深い、との発言もあった。

経営トップが決断して徹底すること、継続することの大切さ(原副会長)、ベストプラクティスを集めること、(Asria)、変化を求め、言い続けることの必要性(Calstars)についての意見があった。

実際にあった事例では、製薬会社が鳥インフルエンザワクチンの特許をWHOに譲渡するかどうかの決断を迫られたことが上げられ、株主にとって大きな利益損失になったとしても、占有しないことで、感染者の増加を防ぐことが社会的責任を果たすことになり、ブランドの価値を維持することになったのではないかというケースが紹介された。

またCSRを守れない銘柄を投資対象から外す動きがあり、損失が発生する場合に、米国とそれ以外の投資家では取る態度が違っているとの、報告もあった。

午後からは、「企業のグローバル化と規制リスク」「会社と保有投資家の対話強化に向けて」「取締役のリーダーシップと重要性の向上」「株主の議決権行使」などのテーマについてのワークショップが開催された。なお閉会にあたり、矢野朝水・企業年金連合会 専務理事が「日本のコーポレート・ガバナンス強化に向けた投資家の重大な役割」と題してスピーチを行った。

写真(敬称略・登壇順)

宮内義彦
日本取締役協会 会長(オリックス会長・グループCEO)

神田秀樹
日本取締役協会 副会長(東京大学大学院法学政治学研究科 教授)

原良也
日本取締役協会 副会長(大和証券グループ本社 会長)