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意見書:会社法制改正中間試案(2012)

2012/01/30

会社法制委員会(委員長 中鉢良治 、副委員長 太田洋 )は、現在会社法制見直しに関し審議を行っている、法務省法制審議会会社法制部会の中間試案(2011年12月14日発表)に対するパブリックコメントに対応し、意見をまとめ、法務省(民事局)に提出しました。

 
 日本取締役協会は、経営者をはじめとする企業経営に関与する有志が、コーポレート・ガバナンス(企業統治)を充実させることにより経営の効率化を図り、日本経済の持続的発展と豊かな社会の創造に寄与することを目的として活動している団体です。また、当委員会は、上記の目的の下で、経営に実際に関与している立場から会社法制見直しについて意見発信を行っていくことを目的として日本取締役協会内に設置されたものであり、企業経営の透明性を向上させ、そのガバナンスの実効性を高めていくための在るべき会社法制の姿・ビジョンを示すことにより、わが国の資本市場に対する内外からの信頼の確保とわが国経済の持続可能な成長に寄与することを目指して、これまで議論を重ねてきました。

 そもそも、リーマン・ショック等の影響もあり長期に亘って継続しているわが国の経済停滞を打破し、経済の活性化を図るためには、わが国資本市場に内外の資金を呼び込むことが不可欠であるところ、近時、わが国においてもコーポレート・ガバナンスに関する深刻な問題が発生したこともあり、誠に遺憾ながら、わが国の資本市場自体が内外の投資家からの信頼を失いつつあります。このような状況下で、企業統治制度に関する会社法制の見直しが行われることは、わが国の株式会社制度が抱えるコーポレート・ガバナンスに関する問題を解消することにより、内外の投資家からの懸念を払拭し、ひいては資本市場の活性化を図るために極めて重要な意義を有しています。当委員会としても、冒頭に述べた日本取締役協会及び当委員会の設立趣意に照らして、企業統治制度の改善に向けた会社法制の見直しの方向性には全面的に賛成するものです。

 もっとも、中間試案の内容には、コーポレート・ガバナンスの向上という目標達成のためには必ずしも十分ではないと考えられる部分も見受けられます。特に、海外投資家からの信頼を確保しわが国の資本市場に対する海外からの資金流入を促進するという観点からは、米国を初めとする諸外国においてはモニタリング・モデルによる企業統治制度が定着していることに鑑み、わが国上場企業の間でも広くモニタリング・モデルに基づく企業統治が採用されることが極めて重要であると考えます。かかる観点から、当委員会としては、このようなモニタリング・モデルを適切に実現しわが国のコーポレート・ガバナンスの向上という目標を達成していくためには、現行の委員会設置会社制度又はその更なる発展形として以下に提言する柔軟設計型委員会設置会社が広くわが国企業の間で採用されることが究極的な理想型であると考えます。
 しかしながら、わが国におけるコーポレート・ガバナンスの現状に鑑みるに、まずは現状を少しでも前進させるべく、わが国上場企業の間でモニタリング・モデルに基づく企業統治が普及することを後押しするような各種施策が講じられることが、差し当たっての重要課題であると考えられます。

 このような観点から、中間試案への単なる賛否を述べるだけでなく、更に一歩進んだ議論として、当委員会として、
① 社外取締役を「複数」導入すること
② モニタリング・モデルを採り入れる上場企業が大幅に増加することを促すような新たな選択肢を提示すべきであるという観点からの提言(例えば、柔軟設計型委員会設置会社制度の導入等)
も行っています。
 当委員会としては、本意見が、中間試案を踏まえた今後の会社法制の見直しの検討の一助となることを切望してやみません。

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