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意見書:銀行の政策投資株式の完全解消に向けて(2010)

2010/06/30

―今こそ「完全解消」に向けて、新しい枠組みでのインセンティブシステムや施策パッケージを―
 日本の新しい金融の動きを理解し戦略を考える委員会(委員長 江原伸好、副委員長 川本裕子 )は、今こそ銀行の政策株式保有の完全解消に向けて、新しい枠組みでのインセンティブシステムや施策パッケージをデザインすべきであり、「持ち合い株」の「早期完全解消」は、健全な日本企業ガバナンスと、健全な日本株式市場の確立の礎となり、グローバル市場における日本経済の競争力強化を加速するという主旨のレポートを発表しました。

「政策株式」は、高度成長期のように右肩上がりの安定市場でなければ、その経済的合理性を担保できない上、企業ガバナンスの透明化が進む今、株主に対する説明責任を果たすことは困難となりつつあります。また、リーマンショック以降の株価低迷、国際会計基準導入を睨んだ動きとしての銀行による自主的な「政策株式・持ち合い株式」解消の加速は、その終焉を一部裏付けるものと言えます。

銀行の政策株式保有の多くを占める「持ち合い」株は、バブル崩壊、不良債権処理を経て急激に縮小しました(市場に占める持ち合い株比率 1991年27%→2001年8%)が、それ以降今日に至るまで「安定株主対策」として根雪のように残り続けてきました。メガバンク3行も今後政策投資株の売却を加速する見込みですが、買収防衛策として安定株主を求める企業側の事情と、「総合的取引採算」を看過出来ない銀行側の事情とが相まって、必ずしも「完全解消」する動きまでには至っていません。

「完全解消」にむけては、民間の自主性依存だけでは実現し得ない可能性が高く、業界・規制当局・市場関係者のそれぞれがその重要性を再確認し、金融システムの不安定さを取り除く必要があります。そのためには、市場関係者からの更なるプレッシャーや、規制・税制政策を組み込んだ施策(銀行に対する政策投資株保有制限強化、銀行に対する政策株売却優遇税制等)も視野にはいってくるでしょう。

当委員会では、このレポートを金融市場関係者に提出するとともに、意見交換や対話の機会を持ちたいと考えています。引き続き、日本経済の成長に向けて、金融業界の果たす役割についても議論を行っていく予定です。