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コラム:社外取締役の強化

2011/12/22

みらかホールディングス 株式会社 取締役 監査委員長 油井直次

 社外取締役は基本的に非常勤であるが、社内の常勤取締役と会社法上会社経営の取締りに関し同等の責任を負うことになっている。

 株主総会で選任される取締役が株主(及び社員)に期待されているのは、会社を持続的に成長させ、高い利益を上げ、高い配当・株価・給料・雇用等を実現し続けることです。そのために執行側は適切な経営戦略、年次計画、投資計画を立案し、取締役は社外・社内を問わず全員で議論し、チェックし、決定することが、第一に行うべき最も重要な仕事であり、引き続きコンプライアンスをしっかり守って、計画が実行されているかチェックを続けることになります。取締役は全員が自らの専門領域を持ちつつも同時に経営全般に関する見識を養い続け、取締役会の全ての決定に参加し、その結果に責任を持たなければならないのです。日本企業の利益率が世界の競争相手に比べ、長期に渡り押し並べて低いのは、企業にとっても国の成長にとっても大きな改善課題です。
 
 以上の説明を踏まえて第1の問題提起は、社外取締役が充分な時間を使う必要があるということです。前述したように、取締役の役割はコンプライアンスチェックにとどまらず経営全般の成長への意思決定であり、非常勤とはいえ本来のかなりの時間を必要とする役割であります。社外取締役自身充分な時間を使い、常に世界のビジネス環境の変化と会社の事業の理解を深め、経営の在り方を考え自己研鑚を続けなければなりません。取締役会においては、実際に議論できる時間は極めて限られています。大企業の場合をモデルにして試算しますと、取締役会が3時間で議案が9件ある場合、議案1件につき平均20分で発表者が10分使い、取締役が10名いたとすると平均すると1分しか持ち時間がありません。1名が長く発言しても3分位でしょう。事前に説明を受けているにしても、極めて短い時間です。この中で有効に発言し議論するには、社外取締役は取締役会と事前説明に時間を使うだけでなく、経営企画・事業部門・経理財務部門等の長及び監査役とも、定期的に会合を持ち事業・会社に関するおおまかな知識を、また世界経済・政治・社会の変化・規制等についても、見識を高め続ける努力をしておかなければなりません。4社・5社と数多くの社外取締役・監査役を引受けられている方々が見受けられますが自社のCEO・COO職で執行責任を負われた方の社外取締役は一社が限界であり、そうでない方でも自己研鑚のための充分な時間と、取締役会及び他の重要会議に必要な出席率を確保するには三社が限界でしょう。それ以上引受けては社外取締役として責任を果たしているとは到底思えません。

 第2の問題提起は、社外取締役の数が少ないことであります。大不祥事はTopが直接関与しているケースが多く隠ぺいも組織的で巧妙です。非常勤の社外取締役が単独で見つけるのは非常に難しい。大不祥事が起きる重大なコンプライアンス違反が明らかになると、社外取締役がそもそもいない、いても機能しているのか否かと問題になりますが、監査役設置会社の大半は社外取締役がいないか、いても一人だけであり、また調査権もあいまいです。多くの企業で、社内取締役が15名から20名と多くいる中で、埋もれてしまいます。監査役は日本では選任方法も含め、慣行的に会社のTopの強い意向に異論をはさむのが難しく、取締役会の監査より業務監査に目がいってしまいます。さらに取締役会において議決権が無いので、事前に会社の大不祥事のリスクに対し影響を及ぼせません。社外取締役は最低2名必要で、しっかりとした調査権を持ち、監査役と共にそれを支援する制度を作る必要があります。